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DXは誰のために?

記事公開:2021年11月25日

真弓課長
今回は、編集長であり、秋田RPA協会の事務局長でもあり、またマーケティング調査のアナリストとしての顔を持つ我が社のアドバイザーの伊嶋氏からの寄稿ですー
アイ
秋田RPA協会が設計した調査の分析ですよね。県内の企業のICTの利活用の実態とDXに対する取り組みや現状を調査した結果なので、すっごい楽しみでしたー
真弓課長
ということで、今回はちょっぴり量が多いですが、いつもにも増して中身は期待大ですねーということで、コロナ禍での昨年からの経年変化も分かる県内企業の実態分析です。始まり、始まり!

DXは誰のために?
―第二回秋田県内の企業における ICT 導入実態と景況感に関する調査結果をうけてー

秋田RPA協会 協会だより(特別寄稿)
一般社団法人秋田RPA協会事務局長 伊嶋謙二

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、ITなどの最新ツールを前提とした、『快適で価値の高い、企業・経済・社会作りの活動』と言っていいはずだ。
DXはいわゆるバズワードであり、『実現できている状態』と『実現できていない状態』の定義は、まだ模索中というのが現状だ。というのも、前提となるIT=デジタル化なども普遍的にうまく活用できているわけでは無いからだ。前提となるデジタル化は、一定数行き渡った状態が確認できるが、道具としての使いこなしは、不十分な状態と見受けられる

現状を移動手段に例えるなら、『道路や線路を作り、車や電車を早く多くの人が利用している』状態だろう。現在のDXのありようを同じようにみると、『単にその手段が多いだけ』とも捉えられる。
手段としてのIT=デジタル化は一定数普及・装備されている事が実感できる。しかし、その先にはまだ、冒頭に挙げたような『快適で価値の高い、企業・経済・社会作りの活動』等の価値の高い『何か』までは実感できていない

IT・DXなどは、それが『自社の戦略や武器として必須』のものとして、気が付くところが、スタートとなるが、一般にITの戦略的活用は大企業などから進み、後にその他の企業・エリアでも進化・導入が始まる。理由は、ITに掛ける人とコストが違うからと言える。企業自らが、コア業務用のIT活用投資を行い、自社戦略用の独自ITシステムを構築することが必須だからだ。
そのため、この流れは大企業がある首都圏、大都市圏から進み、地方では遅れてこの流れがやってくるケースが多い。情報や展開する企業・人などが不足しているからだ。

さて、では地域や自治体はITやDXの普及、展開をどこの目線でみているかがポイントだ。デジタル庁でいう、「一人も取り残さない」という決め台詞は数百万社あるといわれる、全ての企業を考えているようだが、中小企業の経営に役立つ活用というお題目は、過去10年以上達成できないでいるのが実態だ。なので、お手並み拝見ではあるが、もちろん期待はしたい。

中小企業へのIT利活用が進まない理由は明白で、そこに寄り添う人や支援企業、仕組みが無かったことだ。いわゆるIT弱者が多い中小企業ほど『人による直接支援や指導」が必要であるが、オンラインでの提供など、一定のITスキルが必要なセルフサービス型が多く、利活用が進まないのは当然の帰結となる。この度の、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種予約システムで高齢の方や、PC・スマホ等の機器の取り扱いに慣れていない方がスムーズに予約できなかったことと同質の問題だ。

秋田県内の企業数は4万社弱あると言われている。DXをこの4万社すべてに推進すべきかどうかは立場によるが、少なくとも秋田RPA協会としては、県内の全ての企業を対象に、ITの利活用、DX推進ための基礎調査としてこの調査を企画し、定点で調査しながら企業の今後の経営戦略にITをうまく活用してほしいと考える。また、秋田RPA協会の想いも発足当初から変わっていない。

初めの問いかけた『DXは誰のために?』、これは、非常に重いテーマとなるが、ぼんやりやなんとなくのDX推進はありえない。どの視点に立つかによって、DXの展開は全く違う。
単に『現状認識』という側面だけで見ても、この調査結果は県内において唯一無二なものとなる。秋田RPA協会は、ここから具体的な活動・提案・企画を始めたいと考える。

**以下調査報告書のサマリーをご紹介する**
詳細は以下URLで報告書参照。

一般社団法人 秋田RPA協会
https://www.rpa-akita.jp/

調査の総括
本報告書は以下の6つの視点でアンケートを実施して集計分析した結果である。
1. 2021年の秋田県の景況感
2. ICTの利活用状況(現在利用している最新のIT製品やサービス)
3.今後のICT利活用状況(利用してみたい・興味がある最新のIT製品やサービス)
4.企業ビジネスの重要性の現状(今後のビジネスで重要と思われる対応)
5.テレワーク、働き方改革について
6.DXについて
※2021年9月-10月。県内本社のある民間企業。N=233。Web、郵送併用

明るさが見え出した秋田経済
2021年の秋田県内の民間企業を対象とした景況感で言えば、昨年2020年と比較して「多少明るさは見えてきた」という状況が見て取れる。昨年のいわゆるコロナ禍で先行きの見通しが立たない中での経済活動の状況に比べ、現在は感染対策の強化・普及や、収束も見え始め、状況は好転し始めていると感じた結果であった

テレワークは約半数が実施済
ICTの活用状況で言えば、クラウドや非対面でのビジネスツールを中心とした利活用が確実に進んでいることが分かる。またテレワークに関しては、全体の約半数がすでに実施済ということで、今後もテレワーク・働き方改革の動きは進んでいくことが見える

DXには7割が前向き
DX(デジタルトランスフォーメーション)は国(及び秋田県)としても推進しているためか、実際に実施している県内企業は少ないものの、約7割が前向きにとらえていることが分かる。一方で、DXというあいまいなコンセプトゆえに、DXが企業にどう役立つかわからない、対応する人材が不足、なども課題になっている

1. 2021年の秋田県の景況感
「新型コロナウイルスは県内企業の売上に大きな影響を与えたが明るい兆しが見える」
2021年における売り上げへの影響は、いまだ半数近くはあるものの、半数以上が「売り上げは変わらない」または、「上がった」と回答。上昇機運が見て取れる。同じくコロナ禍の1年前に出ていた影響へ、若干明るい兆しが見え始めてきている

2. ICTの利活用状況(現在利用している最新のIT製品やサービス)
「最新IT製品の導入ではコミュニケーションツールが大幅に増えて6割以上」
最新のITツール活用状況で明確になったのは、コミュニケーションツールであり、63.1%が活用と回答。昨年の37.4%と比べて、30ポイント弱の上昇だ。また、「利用している製品・サービスなし」との回答は、昨年は42.9%であったが2021年は21.5%と半減している。明確に最新のITツールの活用が進んできていることが分かる

3. 今後今後のICT利活用状況(利用してみたい・興味がある最新のIT製品やサービス)
「利用してみたい・興味があるIT製品やサービスはAI/RPAに高まる関心」
毎回提示している新たなITサービス・ツールの利活用は、「今後利用してみたい製品・サービスが無い」に対する回答が昨年の32.4%から、2021年度は17.6%と大きく減少している。具体的なITツールへの興味関心が高まっている。特にクラウドサービスやAI/RPAへの関心がいずれも20%台と高まっていることが特徴だ。

4. 企業ビジネスの重要性の現状(今後のビジネスで重要と思われる対応)
「6割が今後のビジネスではセキュリティとデジタル化推進が重要と回答」
今後のビジネス対応におけるITの重要性を表す結果として、「業務のデジタル化」60.9%、「セキュリティ対策」60.1%、この2つが、昨年に比べ明確に重要と考えている結果となっている。また、非対面やリモートワークなどの数値も大きく上がってきている。そして「従来通りで構わない」との回答は昨年の24.7%から12.0%と半減しており、ITのビジネスへの対応の重要性が高まっていることを表している。

5. テレワーク、働き方改革についてテレワーク、働き方改革について
① 「県内企業のテレワーク実施率は大幅に増加。6割が実施済か前向きに検討」
テレワークの実施状況は昨年に比べ大幅に増えている。特にコロナを契機に実施した割合が35.9%と昨年の3倍近い実施となっている。「テレワーク実施予定なし」は、昨年63.5%だったが、今回は37.7%となっており、6割強の企業がテレワークを実施済か前向きに検討という結果となった。
② 「テレワークにおける課題はセキュリティや社内ルールの整備だが、業務全般に課題は広がる」
テレワークにおけるセキュリティ対策の不備や社内体制やルールつくりの整備などという、今まで企業であまり重要視していなかった対応に課題や不安を感じていることが見受けられる。(社内・社外での)コミュニケーションも同様だ。企業活動全般的においてテレワークによる業務への不安や課題が明確になりつつあるようだ。

6. DXについて
「DXの認知度は約7割、今後DXを前向きに進めるも約7割」
DXは、約7割が「何らかの形で今後進めていく」という前向きな結果だ。「現状必要なし」が29.6%と少ない。具体的なDXを進めるための検討をし始めていることが分かる。つまり企業活動を前進させるためにDXを、と考えていることを表している。

【総括 一般社団法人秋田RPA協会 事務局長 伊嶋 謙二】

電子帳簿保存法の改正について

 皆様初めまして。ADK富士システム営業の高瀬です。今日の営業コラムのテーマは「電子帳簿保存法の改正」です。来年(令和4年)1月1日から改正された電子帳簿保存法(以下、電帳法)が施行されます。
電帳法は会計の帳簿書類を電子保存する際のルールを定めたもので、従来は非常に高い要件が設けられていたため実施は困難でしたが、今回の改正で要件が緩和されました。また、一部の取引については電子保存が義務化されることもあり、どの企業にも避けては通れない課題となりました。今回は電帳法の改正内容と今後の対応についてご紹介したいと思います。

改正のポイント
事前申請が不要に
  従来、電子保存を行うためには3ヵ月前までに税務署に届け出を出して承認を得る必要がありました。
 今回の改正ではこの事前承認が不要になります

真実性、可視性の要件緩和
  紙の書類(請求書・領収書など)をスキャナ保存する又は電子データで受領した書類を保存する場合、
 従来は概ね7営業日以内にタイムスタンプを付与し、帳簿の主要な記録項目により検索できるように
 する必要がありました。
  改正後はタイムスタンプの付与は最長2ヵ月と概ね7営業日以内に、検索項目については日付・金額・
 取引先のみで十分となります
。なおタイムスタンプについては要件に適うクラウドサービスを利用する
 場合には不要となります。

適正事務処理要件の廃止
  紙の書類(請求書・領収書など)をスキャナ保存する場合、従来は担当者の自署、別人による照合
 (相互けん制)、定期検査などの事務処理に関する厳しい要件がありましたが、改正後はこれらが
 不要となり一人でも運用できるようになります

罰則の強化
  このように電子保存のハードルが引き下げられる一方で、不正防止のため電子データの改ざんへの罰則が
 強化されています。改正後は電子データの改ざんなどがあった場合、重加算税が通常の35%に
 更に10%加重されます
。また、青色申告の取り消し対象になる可能性があります

電子保存が義務化される取引
 ここまで、電帳法の改正により帳簿書類の電子保存のハードルが下がったというお話をしましたが、一方で電子保存が義務化される取引があります。電子取引と呼ばれる注文書・領収書などが電子データのみでやり取りされる取引については、従来、プリントアウトした書類を保存することが認められていましたが、改正後は電子保存が義務化されます
 この電子取引ですが取引先からの注文書・請求書が紙で届いているからと言って油断はできません。例えば、旅費・交通費などの経費精算で領収書の原本が既に電子データになってはいないでしょうか。こういった場合にも書類の電子保存が必要となります。

電子保存の始め方
 全ての帳簿書類を電子保存するのは大変なことです。まずは電子化しやすい業務・書類から段階的に導入してゆくことをお勧めします。前述の通り、電子取引に関する書類(請求書・領収書)等の電子保存が義務化されますので、まずはこの点について対応が必要となります。
 電子保存は社内にデータを保存することも可能ですが、索引の整備やタイムスタンプの契約を行う必要があります。また要件ではありませんが実際はバックアップ・セキュリティ等の検討も必要です。今回の改正ではタイムスタンプを対応するクラウドサービスで代用することが認められたため、クラウドサービスを利用することでより簡単に電子保存を始めることが出来ます

★お勧めの電子保存クラウドサービス
 ・OSK eValue Air
  (https://www.kk-osk.co.jp/products/air_v/document.html

 ・OBC 奉行Edge 証憑保存クラウド
  (https://www.obc.co.jp/bugyo-edge/voucher

  ※詳細は弊社営業担当にお問い合わせください。

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