記事公開:2021年01月07日
キリスト教でもあるまいし、「三位一体」ということを年明け早々に真弓課長に振られて、もじもじしているともみに、きついご託宣が舞い降りる、年始の教育的な講話から仕事始めとなる。
中小企業における経営者、ユーザー部門(営業、製造などの現場部門)そして情報システム部門の三者の関係は、いわゆる三位一体であるべきなのだが、実際はこの構図からはほど遠い。情報システム部門は、ユーザー部門と経営者との間に挟まり、シナジーを発揮できない状態で居心地が悪い思いをしている。その一方で、中小企業でも十分とはいえないまでも、道具としてITのインフラ(デジタル化)は一応整っている。しかし、経営に生かすべきITを構築、運用するためには、さらにひと工夫が必要だ。そして情報システム部門にその役割が振られるのは当然といえる。だがそれを本当にディレクションするのは、経営者(あるいはOIO)である。
ならば大企業や欧米企業のようなCIOのような人が必要になるのか?結論から言えば必ずしもその必要はない。現実には CIO(Chief Information Officer)的なスキルのある人材を抱える中小企業は少ない。特にITを投資ではなく、経費として見なしている中小企業には、少ない予算の中でITコンサルなどの構築フェーズにお金を掛けるという発想がないことも背景にある。中小企業にとってITは維持管理的支出であるという視点から、IT=コンピュータはかつてのオフコン(オフィスコンピュータ=基幹業務専用機)時代から経費削減のためのコンピュータであり、経営自体を直接推進する役割を担うものではないと考えられているのだ。そもそも中小企業の経営者は、情報システム部門の機能、役割、業務を十分に理解しているといえるのだろうか。あるいは、その役割を勘違いしているかもしれない。
そこで、現在の中小企業の情報システムについて経営者にまつわる3つの課題を指摘する。
1. 情報システム部門を縮小しつつある
中小企業の情報システム部門は、他部門の兼任か良くて1、2人程度。実際に部門として必要かどうかは別にして、経営者は専任で担当を置くことの負担は大きいと感じている。IT部門が予算をそれなりに持てる時代は終わり、今やコストを極力掛けない、あるいは外部に任せられる業務はアウトソーシングすることも珍しくないからだ。
2. 経営層のITへの関与が薄い
経営者は、ITは企業活動(業務)のデジタル化をサポートする役割を担えば十分と考えているため、自らITに関与する割合は低い。情報システム部門を、いわばデジタル化のための“ITの守り人”とみている。
3. 情報システム部門を孤立させている
多くの企業の情報システム部門は、同じ会社であっても、営業や現場部門とは異分子扱いを受けている。そのため、当の情報システム部門のスタッフは、経営者からもユーザー部門からも大きな不満を持たれないよう、行動や考えにおおむね保守的な傾向がある。企業全体のためというより、近視眼的な身の回りだけの仕事に終始しがちだ。
このような現状を踏まえ、経営者はIT部門に対して何をすべきか? これは何も、CIOのようにITと経営双方を理解すべきだといっているのではない。身近に存在するが、企業内で孤立しているIT部門を見直し、再生、分解することこそが、経営者にとって課題解決の有効な方法の1つになる。
この件、引き続き、のちのちへ継続審議となりそうだ。
次回は、働き方改革は何を変えるか?です、お楽しみに。
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