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アップルはなぜマーケティングが要らないのか?【あきたDX通信】

記事公開:2020年11月12日

ともみ
この会社でマーケティングが果たす役割は何なんでしょうか?
真弓先輩
その前に、うちの会社のマーケティングアドバイザー曰く、かのアップルはマーケティングが不要だった、とまで言ってるね。
ともみ
どういうことですか?
真弓先輩
市場に合わせてとかニーズを分析して、競合先の状況をみて戦略を立てる、なんてことは必要ない。アップルが作ったライフスタイルという文化=仕組みを提供して、そこに必要なもの、サービスを提供するだけという、シンプルにして強力な戦略だったわけだから、マーケティングが不要ということ

真弓課長が、先日のマーケティングアドバイザーとのやり取りを述懐する。


真弓先輩
ともみにマーケティングを教えなくちゃいけないんですけど、いい事例ありませんか?
マーケティングアドバイザー
アップルだね。アップルは製品を作るというよりも大事にしていることがあるんだよ
真弓先輩
それはなんですか?
マーケティングアドバイザー
それは、魅力的なライフスタイルを提供すること
アップルにとってタブレット端末市場という概念はなく、ただiPhoneやiPadがあるだけ

つまりアップルは、“ライフスタイルガジェット”であるiPhoneを投入して、スマートフォンという新たな市場を形成した。
同社が、iPhoneの投入時点で考えていたのは、携帯市場でのシェアを取ることよりも、使う人のライフスタイルをより豊かにするための道具や仕組みを提供することだったということなんだよね
真弓先輩
うわー、それは大胆、仕組みや枠組みを作るということですか
マーケティングアドバイザー
そう、市場のニーズにあった製品を開発するのではなく、アップルの製品、サービスを使って新たなライフスタイルを提供すること。

早い話、アップルが提供する新たなライフスタイルを経験するために、ユーザーは同社の道具や仕組みを利用しなくてはならないわけだ。
真弓先輩
それはもっとも強いかもしれませんね。
マーケティングアドバイザー
誤解を恐れずに言えば、アップルはいわゆるマーケティング活動をしていない。
多くのベンダーが取り組んでいるニーズにあった製品を開発、提供することにプライオリティを置いていないんだ。
自ら作った市場に対して、製品やサービスを提供しているだけだ。
真弓先輩
アップルが決めたルールにもとづいて、その生活、文化圏に参加して楽しむには、アップルのガジェットが必要になるということですか
マーケティングアドバイザー
独占的かつ唯一のツールを持っているアップルが勝者となることは、だれが見ても単純明快な話となるわけ。
真弓先輩
そりゃ、斜め上すぎますよね、、、アップル
マーケティングアドバイザー
無論、その生活、文化圏が人々にとって魅力的でなければ、製品やサービスに意味はない。
ハコモノの優劣ではなく、ITというテクノロジを見えないようにして、生活をどのように楽しむかを提案する
それがアップルのアプローチなんだよね

ともみ
なるほど・・・
うちの会社もマーケティングは大事だけど、仕事をするうえでの仕組みやルールのようなものを提供すれば、あとはそれに応じた製品をどんどん提供すればよいということで、マーケティングはいらなくなるってことですよね?
真弓先輩
つまりはそういうことだけど、その前に、世の中のルールや仕組みを提供するってことがどんだけ、大変で、アップルがそこに至るまでにマーケティングをどれだけ行った結果だったか、ということを忘れないようにね。
ともみ
自社を知る、市場を知る、競合を知る、技術を知る、価格を知る・・・
うわ、やることいっぱいですね。すぐに取り掛かります!
真弓先輩
そうだね、常に顧客、技術、競合先などの動向を探っておいて、うちの開発部隊や営業部門にマーケティングとしての情報や分析結果を出さなければいけないわけ。なぜなら世の中、市場は常に変化しているから、変化に対応しなくちゃいけないでしょ

ともみは、課題地獄のなかでも、嬉々としてばりばり世の中のIT関連情報を吸収して、
マーケティングへの端緒についたばかりだが、燃えまくっているのである。

編集長の一言

 いわゆる参考書的にいえば、マーケティングの4Pや4Cでの分析方法は、ビジネス感覚でいえば、通常行っている思考であるので、改めてマーケティング手法については言いませんが、各自勉強して欲しいところです。あとはSWOTやランチェスター戦略など、メーカーへの戦略構築提案で活用した思い出がありますね。特に弱者の戦略はどうするかです。ともあれ参考書から答えは出せないので、まず動きましょう。

4P=製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、販促(Promotion)
4C=顧客価値(Customer Value)、経費(Cost)、顧客利便性(Convenience)、コミュニケーション(Communication)

参考:今回の元ネタとしては以下を参照。
https://active.nikkeibp.co.jp/article/Active/20120228/383477/

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