記事公開:2021年09月02日
※ DXについての補足
DXについてIT視点からの説明を加えたのが上の図版である。編集長の知人でIT教育で実績のある齋藤塾長から拝借した。デジタル化といっても、図にあるように、ハードもあるし、OSのような基本ソフトもあれば、用途別のアプリケーションもある。DXは、それらのデジタル要素をレイヤ構造に分解して、大きなプラットフォームとしてDXを置く=抽象化する。それに応じて、ハードやアプリケーションなども組み合わせることによって、圧倒的短時間で、複雑な処理や仕事を行うことができるようになるというわけだ。くどいようだが、デジタル化がDXではないということがこの図からも分かる。(出典:ネットコマース)
皆さんこんにちは。ADK富士システム営業の五十嵐です。今回は、いつものような製品紹介ではなく、最近よく聞く・・・というか聞きすぎるきらいもある『DX』について取り上げてみます。DXはちょっと食傷気味という方もいらっしゃるかもしれませんが、お読みいただければ幸いです。
<DXって何?>
いつもこのコーナーでは、「○○って何?」というタイトルをつけ、できるだけ製品や技術の正確な情報をお伝えしようとしているのですが、今回の『DX』については、勘違いも多く、正確にとらえて頂けるか若干自信がありません。上手く伝えられるよう頑張ります。
さて、DXの起こりですが、2004年にスウェーデン大学のエリック・ストルターマン氏が提唱した概念で、この時の定義としては、『ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること』があげられています。
時は過ぎて2018年。経済産業省の定義はこうです。
『企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること』
非常にたくさんの事が書かれてありますが、超要約すると、「企業が変革し、競争上の優位性を確立する事」と読み取れます。そこに「デジタル技術」や「データ」が使われるという事です。
経産省の定義だけあって、主語が「企業」になっています。顧客や社会のニーズを基に・・・とありますので、企業がその活動を通じて社会に還元する価値によって、よりよい社会を実現するとも読み取れますね。
このような定義がされているDXですが、世の中ではまだまだ正しい理解がされておらず、言葉が先行している感が否めません。皆さんも、周囲から「DXって何?」と質問されて、すぐに答えられそうですか???
<DXに対する勘違い/デジタル化との違いは?>
DXを語るときによく登場するキーワードで混同されやすいものに「デジタル化」があります。さらに「デジタル化」にも二通りあり、旧来から言われているものと、最近使われるものとで意味が違います。それぞれを以下に示しますが、どちらも日本語だと「デジタル化」です。
・デジタイゼーション:音声や信号などアナログ信号をデジタル信号に変換すること(旧来の使い方。単なるITツール導入もこちらに含まれると考えて結構です)
・デジタライゼーション:デジタル技術や蓄積したデータを活用し新しい価値を生み出す事。(ここには競争力のあるサービス、ビジネスモデルなども含まれることもあるようです)
この「デジタル化」という言葉をさらに「DX」と混同してしまった上での勘違いが良く指摘されています。
・DX=旧来のデジタル化≒ITツールを会社に導入すればDXは実現できる!
・DX=デジタライゼーション≒ITツールも入れたし、データ活用もできてきた。DXはもう大丈夫!
などですが、特に下段の例は、多くの方がDXに抱くイメージに近いのではないかと、私自身が感じます。お客様に説明する際にも、そのように受け止められるケースが多く思いますので・・・。
確かに、これまで紹介してきたようなPRAやOCRなどを導入すれば、自動化の恩恵で業務負担が少なくなるなどのプラスの恩恵を受ける事はあると思います。また、ツールで蓄積されたデータを経営に活かす(データドリブン経営)事で、経営上の新たな方向性を見出す事も可能でしょう。
しかしDX実現というには、ここで立ち止まってはいけないのです。DXは前にも述べた通り、企業を変革し、競争上の優位性を確立する事です。その為には、単にツール導入だけに留まらず、デジタライゼーションによる新しい価値の創出を試み、組織や、時には業態までも変えて(変革して)いくことも必要となってきます。
当然周囲も同様の取組を行うことを考えると、DX実現については、将来的に確固たるゴールがあるものではなく、継続的な取り組みによってはじめて成し遂げられるものとも言えます。
勿論、企業によってビジョンや戦略は異なります。DX実現への道のりやスピードも様々で、ある企業の成功事例をそのまま適用しても成功するとは限りません。「DX実現」という短い言葉ですが、本来の意味での実現は、簡単にはできないというのが実情です。
我々IT業界も、規模も業態も様々な企業様が存在する中で、今後社会全体のDX実現へ、どう貢献していけるのかが、この先生き残るための重要なポイントであり、使命でもあると考えています。
<全ての企業がDXに取り組む必要があるのか?>
では、全ての企業がDX実現に向けて取り組む必要はあるのでしょうか?正解が言えるわけではありませんが、私の個人的な見解では「概ねYes」です。
理由は至極簡単なのですが、
『世の中が、既にDX実現に向けて取り組みをはじめている』
からです。
特に日本に限った話で言えば、今後確実に少子高齢化が進み、労働人口も減少し(高齢者雇用は拡大すると思いますが)、市場規模も縮小方向で、かつ新型コロナ禍が収まる気配もありません。これらを突破するツールとしてデジタル技術の活用や、その先のDXが叫ばれているのであり、自社が取り組まない状況でも競合相手が取り組んだり、自社の取引先が取り組んだり、社会がそれを要求したり・・・と、否が応でも対応が求められることが予想されます。
勿論、経営方針として、世間と逆に張っていく(デジタル化やDX実現に向けて取り組まない)というケースもあるのかもしれませんが、今後しばらくは「DX」を中心とした世の中の動きが予想されるなか、少なからず「DX」を意識した活動を今後は行っていく必要があるのではないでしょうか?
と、上記のような書き方だと、非常に守りの姿勢、受け身の姿勢が協調されてしまいますが、本来「DX」が持つ意味は、デジタル技術を活用し、競争上の優位性を確立した上での「攻めの経営」です。
弊社自身も、この7月に、経産省の「DX認定」を東北企業として初めて受け、今後益々企業力を高め、秋田をはじめとした全国の皆様と社会へしっかりと貢献を果たそうとしております。DX認定制度は、自社のDX推進の準備が整っている(DXReady)事業者を認定する制度で、我々自身がDX実現に向けて全社を挙げて取り組んでいます。
自社のDX推進で培った知見は、この先お客様に提供する高い価値を持った情報として、しっかりとお伝えしていきたいと思います。
このコーナーも、単なる製品のPRコーナーに留まらず、今後DXに関する有益な情報を発信していきます。
さて、今回はDXについて思う所を書きました。かえって難しく捉えられてしまったのではと危惧もしていますが、デジタル化自体が全国に比べ遅れをとっているこの秋田においては、DXは今後の重要課題です。
但し、デジタル化が遅れているとは言うものの、DXに興味を持っている経営者様は決して少なくありません。
DXに向けた取り組みに興味がある方、ご質問がある方、弊社でご協力できる事が少なからずあるかと思いますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
色々書きましたが、多くの皆様にDXとDX実現に向けた取り組みの意義をご理解いただければ幸いです。
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あきたDX通信>>>>> 編集長 伊嶋謙二 /// 編集スタッフ 伊藤真弓 /// 主幹:鈴木守 /// エイデイケイ富士システム株式会社 DXセンター
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